イノシシやシカを箱わなでどうやって捕まえるのか

箱わなをセットすれば捕まる?

箱わなは、動物を箱の中に閉じ込めて捕まえる猟具です。中に入った動物が糸に触れたり、踏み板を踏んだりすると、扉が閉まる仕組みになっています。

ハンターバンクでは、箱わなの中に張った「ケリ糸」に動物が触れると扉が閉まる、ケリ糸式の箱わなを使っています。

エサには、基本的に米ぬかを使います。状況に応じて塩を混ぜたり、キャラメルコーンや圧ぺんトウモロコシを使ったりすることもあります。この記事では、ケリ糸式の箱わなと、米ぬかによる誘引を中心に説明します。

箱わなは置くだけで、都合よく中に入ってくれるわけではありません。エサを使って箱わなの中へ誘い、体が十分に中に入った状態でケリ糸に触れるようにする必要があります。

そして、エサを置いたからといって、すぐに奥まで入ってくれるとも限りません。狙っているイノシシやシカの様子を観察しながら、時間をかけて少しずつ箱わなの中へ誘っていきます。

周辺にイノシシやシカが来ているか?

箱わなによる捕獲を始める前に、そもそもイノシシやシカが来ている場所なのかを確認する必要があります。これは、箱わなを設置する前の大切な準備です。

ハンターバンクでは、地域の方からの情報や、現地の足跡・掘り返しなどの痕跡をもとに、設置場所を選んでいます。

場所を見つけるまでの流れは、「捕れる場所はどうやって見つけるのか」で詳しく紹介しています。この記事では、設置した箱わなへ動物を誘い、捕獲につなげる過程を見ていきましょう。

誘引を「よせ・さそい・しとめ」の3段階で考える

ハンターバンクでは、動物の誘引の進み具合を分かりやすくするために、「よせ」「さそい」「しとめ」という3つの段階に分けて考えています。

「よせ」は、箱わなの周辺へ動物を寄せる段階。「さそい」は、箱わなの入口へ、さらに中へと誘っていく段階。そして「しとめ」は、ケリ糸の奥に置いたエサで誘い、捕獲を狙う段階です。

この言葉を使うことで、ハンターバンクの会員や現地スタッフが「今どこまで進んでいるか」「次に何をするか」を共有しやすくなります。

「よせ」:箱わなの周辺でエサを食べてもらう

まずは、箱わなの周辺にある足跡や食べ跡、掘り起こしの跡などを確認し、動物が来ている場所に広くエサを撒きます。

この段階では、すぐに箱わなの中へ入れることを目指すのではなく、周辺でエサを食べる様子を確かめます。

米ぬかは、もともとその場所にある食べ物ではありません。そのため、まずは撒いたエサに慣れてもらい、食べる経験をしてもらいます。

「よせ」ではエサを広く撒くため、トレイルカメラに映らない場所の食べ跡も確認します。

「さそい」:箱わなの入口から、中へ誘っていく

周辺のエサを食べるようになったら、エサを撒く場所を少しずつ絞り、箱わなの入口へ誘っていきます。入口で食べるようになれば、さらに内側へと進めます。

ここで大切なのは、動物がどこまで近づき、どこのエサを食べているかを見ることです。

入口の外では食べているけれど、中のエサは残っている。前足は入れているけれど、体全体は入っていない。中には入っているけれど、奥までは進まない。

同じ「箱わなに来ている」でも、誘引の進み具合は違います。その違いを見ながら、エサの位置や配分を考えます。

目指すのは、同じ個体が繰り返し訪れ、さそいのエサを食べる状況をつくることです。

また、箱わなの入口で、一歩中に入ることを警戒することが多いです。扉や足元のワイヤーメッシュを気にしているように見えることもあります。一歩でも中に入ってもらえるように、じっくりとさそいのエサを撒いていきます。

「しとめ」:ケリ糸の奥へ誘い、捕獲を狙う

箱わなの中でもエサを食べるようになったら、いよいよ捕獲を狙っていきます。

動物が中に入っただけでは、捕獲できるとは限りません。体が十分に中に入った状態でケリ糸に触れるように、奥まで進んでもらう必要があります。

その際に重要なのは、よせ、さそいのエサをすべて除去し、しとめのエサをケリ糸の奥だけに集中させることです。他の場所でエサを食べて満足して帰らないように、配置を切り替えます。

カメラ画像や食べ跡から、奥まで入っているかを確認し、現地スタッフと相談しながら捕獲に向けた準備を進めます。捕獲後に対応できる人員や日程も、併せて確認します。

エサがなくなっただけでは、分からない

撒いたエサがなくなっていると、「イノシシが来た!」と期待したくなります。しかし、別の動物が食べていることもあります。

トレイルカメラでは、来た動物の種類だけでなく、箱わなに近づく様子や、どこで食べているかも確認できます。

一方、カメラに映る範囲には限りがあります。現地では、画像に映らない場所の足跡や食べ跡、エサの状態、箱わなの異常なども確認します。

カメラ画像と現地の見回り。それぞれから得られる情報を合わせることで、次の作戦を考えやすくなります。

捕れないときも、次の作戦につながる

捕獲できなかったときも、観察から分かることがあります。

周辺には来ているのか。入口で引き返しているのか。中には入っているけれど、奥のエサを食べていないのか。

どこまで進んでいるかが分かれば、次に何を試すかを考えられます。作戦を変えた後は、動物の行動に変化があったかを確かめます。

ハンターバンクでは、カメラ画像や見回りの報告をSlackというアプリで共有し、作戦を検討することができます。「入口までは来ているね」「次は中へ誘ってみよう」と、同じ情報を見ながら作戦会議ができることが、チームで箱わな猟に取り組む面白さの一つです。

観察し、考え、確かめながら捕獲へ

箱わなでの捕獲は、エサを撒いて待つ間にも、さまざまな判断を積み重ねています。

どんな動物が来ているか。どこまで入っているか。次はどこにエサを置くか。「よせ・さそい・しとめ」という段階を共有しながら、観察と工夫を続けます。

自分たちで考えた作戦の先で、イノシシやシカが箱わなの中へ進んでくる。その過程も、捕獲の楽しさであり、学びです。

ハンターバンクでは、こうした捕獲までの過程を、仲間と一緒に経験できます。活動に興味を持った方は、ぜひ説明会で詳しく聞いてみてください。

 


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