鳥獣被害を減らしたい!
だけどハンターも減っていく……

甚大な鳥獣被害額

駆除の継続の必要性

ハンターの高齢化

鳥獣被害とは、イノシシやシカ、キツネなどの野生動物による農作物の食害などのこと。

令和元年度の農業被害額は158億円(農林水産省 調査)、林業被害面積は5,000ヘクタール(林野庁 調査)もあります。

農山村地域では、防護柵の設置などの対策や、地元ハンターによる許可捕獲(有害鳥獣駆除)が行われ、捕獲頭数は上昇傾向にあります。それでも被害が減らないということは、有害鳥獣の総数自体が増加しているとも考えられます。

しかも地元ハンターの多くは高齢化しており、多くの地域で近い将来、ハンター不足に陥ることは避けられないのです。

この課題への対応策の一つとして、私たち小田急電鉄が考えたのがこの「ハンターバンク」です。

「社会課題の解決」を目的とした社内事業アイデア公募制度に社員自ら原案を提出。

同制度の第一期生として採択され、2022年に事業化したものです。

狩猟免許保有者数は増えても、
ペーパーハンターが増えている!?

近年、アウトドアへの関心の高まりや、狩猟を題材とした漫画の流行などにより、免許保有者数は増加。特に10代から40代の取得率が高まっています。

しかし、実際に狩猟者として活動しているのは保有者全体の13%程度。つまり、「ペーパーハンター」として実績のないハンターが増えているのです。

なぜこのような状況になっているのでしょうか。

若手ハンターは
さまざまな壁にぶつかってリタイアしている

せっかく貴重な免許を取ったのに、貢献できる場所がない…

経験を積まないまま、技術を習得できず、意欲を無くしていってしまう…

この状態が続くと、5年後や10年後の近い将来、鳥獣被害を防ぐことが難しくなっていくでしょう。

そこでハンターバンクは、実践を重ねながら若手ハンターの育成を行うことを目指しました。

より多くの人が狩猟を始めやすい環境をつくり、「狩猟人口の増加」を促進することで鳥獣被害対策の課題解決へつなげていくことが、私たちのミッションです。

私たちのチャレンジ

私たちは当初、上記のような「ペーパーハンター」の育成に取り組んできました。
しかしそれだけでは、狩猟人口の減少という課題はなかなか解消できないでしょう。
ハンターバンクではこれを解決するため、新たなハンター候補の開拓にも挑戦しています。

今まで限られた人だけに営まれてきた「狩猟」を、暮らしを豊かにするアクティビティに。
家庭菜園を楽しむように、釣りを楽しむように、もっと身近にカジュアルに日常に取り入れられる選択肢にしていくことで、より継続的なハンターの育成、そして鳥獣被害の解決につながると考えています。
 
既に、

・新しいアウトドアの趣味や仲間を見つけたい
・ジビエ料理が好きで、自分でも新鮮なジビエを調理してみたい
・狩猟を題材とした漫画のような生活を取り入れてみたい
・自分の手で獲った肉を食べてみたい
・野生動物との頭脳戦に挑戦したい
・自分自身や子供の食育の一環として取り入れたい

といった人が、ハンターバンクで学び、狩猟の技術を習得しています。
 
ライトな興味から狩猟の世界に踏み込んでくれた人たちへ、狩猟が持つ意味、そして社会課題解決ができるという本質的な価値を伝え、長期的な目線でハンター候補生を育成していくことが、私たちの目指す未来です。