大きな角の雄鹿は箱わなに入るのか?

―予想どおりにいかない狩猟の面白さ―

秋になると、ハンターバンク豊岡のトレイルカメラには、立派な角を持つ雄鹿が姿を現します。

まるで縄張りを主張しているかのように、長いときには1時間ほど箱わなの周りをうろつき、ゆっくりと米ぬかを食べています。箱わなの中に撒かれた米ぬかにも、興味を示しているようです。

次の日にも、同じ雄鹿と思われる個体が、ほぼ同じ時間にやってきて、やっぱり1時間ほど滞在していました。

この雄鹿、何を考えている?

大きな角を持つ雄鹿を見ると、いろいろと想像したくなります。

ハンターバンク豊岡の会員さんたちも、

「おお、強そう!」
「このあたりに縄張りがあるのかな?」
「メスの姿が見えないけれど、このシカはハーレムを作ったりしないのかな?」
「発情期だから、メスを探しているのかも?」
「それにしても、ずいぶんゆっくり米ぬかを食べているね」

といった感想や意見が飛び交います。

秋はシカの繁殖期。雄鹿の行動について調べると、縄張りや群れのつくり方、採食行動など、さまざまな研究や解説が見つかります。

会員さんたちも、それぞれ調べたことを交えながら議論が深まっていきます。

ただ、それらの研究が行われた場所と、豊岡の里山では環境が違います。そもそも、カメラに映った雄鹿が何を考えているのかは、雄鹿に聞かなければ分かりません。

でもやっぱり、あれこれ想像してみるのは楽しいです。

こんな大きな角で、箱わなに入れるの?

もう一つ気になるのが、大きく広がった角です。

「こんな角で、箱わなの入り口を通れるの?」
「箱わなの格子に引っかからない?」

観察を続けていると、この雄鹿は器用に頭の角度を変え、角を箱わなに引っかけることなく奥まで進み、米ぬかを食べていました。

「おお、そんなふうに入るのか!」

大きな角は邪魔になるだろうと思っていても、実際の動きは見てみなければ分からないものです。

  

そして、豊岡では実際に立派な角の雄鹿が箱わなで捕獲されています。

分かったこと、まだ分からないこと

大きな角の雄鹿でも、頭の角度を変えて箱わなの中まで入れる。これはカメラの記録から分かったことです。

でも、なぜその雄鹿が箱わなの中に入ったのでしょう。

米ぬかを食べたかったから?
繰り返し訪れるうちに箱わなに慣れたから?
それとも繁殖期ならではの行動が関係していたのでしょうか。

答えはまだ分かりません。捕獲できたからといって、最初に考えた理由が正しかったとは限らないのです。

縄文人も、シカの通り道を考えた?

少し昔の話をすると、房総半島北部には、縄文時代に野生動物を捕らえるために掘られたと考えられる落とし穴が数多く残されています。シカなどの動物を狙ったと考えられますが、個々の落とし穴の対象動物まで分かるとは限りません。

豊岡のある湊川流域にも、縄文時代の人々が暮らしていた痕跡があります。ただ、豊岡周辺で当時どのようにシカを捕らえていたのかは、まだよく分かっていません。

このあたりに暮らしていた人たちも、シカの通り道を見つけ、その行動を想像しながら狩猟をしていたのかもしれません。

トレイルカメラのなかった時代、人々は何を手がかりに動物の行動を読んでいたのでしょうね。

分からないから、また観察したくなる

今では文献を検索したり、AIに聞いたりすれば、シカについてたくさんの情報が手に入ります。そうした知識は、現場で何に注目し、何を試すかを考える手がかりになります。

でも、実際のシカは、その予想をあっさり裏切ってくれることがあります。

「あれ、そうじゃなかったの?」
「じゃあ、今度はこうしてみようか」

カメラの写真を見て、現場で痕跡を確かめ、仲間と相談する。米ぬかを撒く位置などを工夫して、また結果を見る。うまくいくこともあれば、思いどおりにならないこともあります。

観察して、想像して、試してみる。そして、また観察する。

分からないことがあってもいい。仮説が外れてもいい。その先にまた新しい発見があるから、狩猟は面白いのです。

ハンターバンク豊岡では、そんな試行錯誤を仲間と一緒に楽しんでいます。


豊岡でできる狩猟体験、ハンターバンク豊岡に興味を持った方は、まずはオンライン説明会に、ぜひ参加してみてください。 

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