大雨で獣道が変わった! イノシシやシカはどこへ行った?
豪雨で変わった豊岡の山
今年の9月、何度も激しい雨が千葉県内を襲いました。
ハンターバンク豊岡エリアがある富津市では、県北部のような大規模な浸水被害こそありませんでしたが、山間部では道路の崩落などが多数発生しました。

富津市志駒(しこま)地区では生活道路の路肩が崩れ、通行止めに。また、豊岡から鴨川方面へ抜ける県道88号線でも山道の一部が崩落し、通行が難しくなりました。
普段は何気なく通っている道路も、大雨によって突然使えなくなってしまいます。
山林に箱わなを設置している私たちにとっても、大変な事態です。道路が通れなければ見回りにも行けませんし、山の斜面が崩れる危険もあります。
こうしたときは、無理に現場へ向かわないことが大切です。
そして、豪雨によって変わってしまうのは、人間の生活だけではありません。山に暮らすイノシシやシカの行動にも、大きな変化が見られました。
川沿いは野生動物の大動脈
普段、山を歩いていると、川沿いに多くの獣道があることに気づきます。
豊岡周辺は九十九谷(くじゅうくたに)とも呼ばれる、複雑な谷が入り組んだ地形です。急な斜面が多い山の中で、川沿いや谷底は、イノシシやシカにとって比較的移動しやすい場所になっています。
川沿いには水飲み場があり、周辺には植物や昆虫などの餌もあります。イノシシが好んで食べるサワガニなども生息しています。
つまり川沿いは、野生動物にとって移動経路であると同時に、餌を探す場所でもあるのです。
ところが、大雨で川が増水すると、その環境は一変します。
普段歩いていた川沿いの場所が水没したり、川を渡れなくなったりします。水辺の餌も、いつもどおりに探せるとは限りません。
今回の豪雨の後、豊岡の現場でも変化が見られました。
それまで使われていた川へ向かう獣道が薄くなり、中にはほとんど使われなくなってしまった道もあったのです。
野生動物が何度も歩くことで地面にできる獣道は、利用されなくなれば次第に分かりにくくなっていきます。
川の状態が変わったことで、動物たちも普段の移動ルートを見直したのかもしれません。
山側では、逆の変化が起きていた
では、川沿いを通らなくなった動物たちは、どこへ行ったのでしょうか。
実際に山を歩いて確認すると、川沿いとは逆の変化が起きていました。
山側や尾根に近い獣道が、以前よりもよく使われるようになっていたのです。
さらに、現場に設置しているトレイルカメラの記録からも、シカやイノシシの移動ルートが変化していることを確認できました。
川沿いの道を使わなくなり、より高い場所を移動するようになったと考えられます。
もちろん、動物たちに直接理由を聞くことはできません。
しかし、豪雨の前後で獣道の状態が変わり、トレイルカメラにも動物の移動ルートの変化が映っている。こうした観察結果を重ねることで、山の中で何が起きているのかが少しずつ見えてきます。
また、大雨は箱わなを設置している場所そのものにも影響します。
水はけの悪い場所では箱わなの中に水が溜まり、撒いていた米ぬかが流されたり、濡れて傷んだりすることがあります。
箱わなを安全に管理するためにも、雨の後は地面の状態や水の流れを確認することが大切です。

変化を見つけることが、捕獲のチャンスにつながる
箱わな猟では、イノシシやシカが普段どこを歩いているのかを知ることが重要です。
せっかく箱わなを設置しても、動物が近くを通らなければ捕獲にはつながりません。
今回のように豪雨で獣道が変わってしまうと、それまで動物が頻繁に現れていた場所に、ぱったりと姿を見せなくなることも考えられます。
しかし、見方を変えれば、これは新しいチャンスでもあります。
川沿いの獣道が使われなくなった一方で、山側の獣道がよく使われるようになったのであれば、そこに捕獲の可能性があるかもしれません。
私たちは、現地で足跡や獣道の状態を確認し、トレイルカメラで動物の動きを観察します。その結果をもとに、米ぬかを撒く場所や箱わなの設置場所を見直していきます。
一度箱わなを設置したら終わり、というわけではありません。
動物の行動を観察し、なぜそうなっているのかを考え、捕獲に向けた作戦を立てる。そして、その結果をまた観察する。
こうした試行錯誤も、箱わな猟の面白さの一つです。
山は、いつも同じではない
今回の豪雨では、私たち人間の生活道路が崩れ、山の中では野生動物の移動ルートにも変化が見られました。
普段当たり前に使っている道が、ある日突然使えなくなる。これは人間も野生動物も同じなのかもしれません。
自然を相手にする以上、これまでうまくいっていた方法が、これからもうまくいくとは限りません。
だからこそ、現場をよく観察することが大切です。
環境が変われば、動物の行動も変わる。その変化を見つけることが、次の捕獲につながっていきます。
豪雨による被害には十分注意しながら、これからも豊岡の山で、動物たちとの知恵比べを楽しんでいきたいと思います!

豊岡でできる狩猟体験、ハンターバンク豊岡に興味を持った方は、まずはオンライン説明会に、ぜひ参加してみてください。