なぜハンターバンクでは解体体験を行うのか
野生鳥獣の解体体験はいろいろある
野生鳥獣の解体体験は、全国各地で行われています。
命や食について考えるためのもの。ジビエを味わうためのもの。猟師の仕事を知るためのもの。解体技術を学ぶためのもの。目的はさまざまです。
どれも意味のある体験ですが、多くは、解体という一工程に焦点を当てたプログラムです。
ハンターバンクでも、入会後最初の3か月に解体体験を行います。
同じ「解体体験」という名前ですが、ハンターバンクでは、解体だけを切り出して体験してもらうことが目的ではありません。
ハンターバンクが伝えたいのは、狩猟の一連の流れ。その中にある解体です。
ハンターバンクが伝えたいのは、解体ではなく狩猟
ハンターバンクでは、入会してから最初の3か月を「レクチャー期間」としています。

この期間には、実際に箱わなを管理しながら、捕獲方法を学びます。箱わなの周辺にトレイルカメラを設置して動物の動きを観察し、現地を見回って足跡やエサの食べ方を確認する。どこに、どのくらいエサを置くのかを考え、仲間や現地のスタッフと作戦を立てながら捕獲を狙います。
こうした日々の活動に加えて、レクチャー期間には次のイベントがあります。
・キックオフミーティング
・全体ミーティング
・解体体験
・ジビエBBQ & ステップアップミーティング
キックオフミーティングでは、これから一緒に活動するチームの顔合わせを行い、箱わなの設置場所やトレイルカメラの使い方を確認します。
全体ミーティングでは、箱わな周辺の状況を見ながら、捕獲に向けた作戦を考えます。
そして解体体験では、捕獲した後にどのような作業があるのかを経験します。
最後のジビエBBQ & ステップアップミーティングでは、3か月間の活動を振り返り、その後の活動につなげます。
レクチャー期間が終わると、学んだことを使いながら、自分たちで考えて狩猟を続けていく段階に入ります。一通りの流れを学んだ会員は、自分たちで箱わなを管理し、動物の動きを見ながら、仲間と相談し、工夫を重ねて捕獲を続けます。
つまり、ハンターバンクの解体体験は、それ自体で完結するイベントではありません。
その後、自分たちで狩猟を続けていくために、最初の3か月で経験しておくプロセス
解体は、捕獲後のプロセスの一つ
レクチャー期間終了後も、会員は自分たちの箱わなで捕獲を狙い続けます。
実際に捕獲があれば、その個体を運び、解体し、肉を整理し、残滓を処理し、使った場所を清掃する。捕獲後には、そうした一連の作業があります。
箱わなの扉が閉まったところで、すべてが終わるわけではありません。
捕獲した個体をその後どう扱うのかまで含めて、狩猟です。
だからハンターバンクでは、実際に自分たちの箱わなで捕獲が起きる前に、解体体験を行っています。
解体だけを一度やってみるためではなく、その後の捕獲で必要になるプロセスを、あらかじめ経験しておくためです。
なぜ捕獲前に解体体験を行うのか
野生動物は、こちらの予定に合わせて捕まってくれません。
捕獲日をあらかじめ決めることはできませんし、実際に捕獲があった日に、チーム全員が集まれるとも限りません。
そのとき初めて、どんな道具が必要で、どれくらいの人手と時間がかかるのかを知るのでは、なかなかうまく動けません。
そこで、レクチャー期間のうちに一度、解体の全体像を経験しておきます。
捕獲後に必要なのは、どこからナイフを入れるのかといった解体技術だけではありません。
捕獲した個体をどう運ぶのか。誰が個体を支えるのか。切り離した肉をどう扱うのか。残滓をどう片付けるのか。作業台をどう清潔に保つのか。
こうしたことを、実際に手を動かしながら経験します。
目的は、「解体を一度やった」という経験をつくることではありません。
自分たちの箱わなで捕獲があったとき、その後に何が起きるのかをイメージできるようになることです。
なぜ1頭を8人で解体するのか
ハンターバンクの解体体験では、1頭を8人ほどで扱います。
「8人では多いのでは」と思われるかもしれません。確かに、少人数の方が一人ひとりがナイフを持つ時間は長くなります。
でも、ハンターバンクで経験してほしいのは、ナイフの使い方だけではありません。
ナイフを持つのは2人でも、解体するのは8人全員です。
実際の作業では、たとえば次のように役割が分かれます。
・ナイフを持って作業する人が2人
・個体や皮を支え、作業を補助する人が3人
・肉のトリミングや部位整理、残滓の片付け、作業台の清掃などを行う人が3人
初心者が主体となって1頭を処理するには、誰かが個体を支え、誰かが肉を受け取り、誰かが作業場所を整えなければなりません。
一方で、人数が多すぎれば仕事のない見学者が増えてしまいます。
8人という人数は、初心者の会員それぞれに役割があり、自分たちが主体となって、チームで1頭の処理を進めるのにちょうどいい人数です。

本番では、集まれる5人ほどで対応する
レクチャー期間の解体体験では、あらかじめ日程を決め、1頭を8人ほどで扱います。
しかし、自分たちの箱わなで実際に捕獲があったときは、そうはいきません。
平日に捕獲があることもあれば、急な連絡になることもあります。チーム全員が集まれるとは限らず、実際に現地へ来られるのは5人ほどになることもあります。
そのメンバーで、搬出し、解体し、肉と残滓を整理し、清掃まで進めます。
そのとき、初めて解体を見るのと、一度全体を経験しているのとでは、動き方が違います。
次にどんな作業が始まるのか。自分は何をすればいいのか。誰を補助すればいいのか。
一度経験していれば、細かな手順をすべて覚えていなくても、作業全体のイメージがあります。
レクチャー期間の解体体験は、それだけで完成するものではありません。
その後、自分たちの捕獲があったときに動くための経験です。
同じ「解体体験」でも、目指しているのは「解体実感」
ハンターバンクでも、イベントの名前は「解体体験」です。
ただ、そこで持ち帰ってほしいのは、「シカを解体した」「イノシシを捌いた」という経験だけではありません。
・1頭の動物が思っていた以上に重いこと。
・ナイフを持たない人にも、多くの仕事があること。
・解体すると、肉だけでなく相当な量の残滓が出ること。
・そして、最後には片付けや清掃まで必要になること。
こうしたことは、話を聞いただけではなかなか分かりません。
実際に個体を支え、肉を受け取り、残滓を片付け、最後に作業台を清掃してみると、捕獲後の仕事が急に具体的になります。
これを私たちは、「解体実感」と呼びたくなります。
ハンターバンクでは、動物の痕跡を見つけ、トレイルカメラで観察し、仲間と作戦を立て、現地を見回り、箱わなへ寄せて捕獲を狙い、捕獲した個体を最後まで扱う。その一連の流れを伝えたいと考えています。
だから、同じ「解体体験」でも、その位置づけは少し違います。
解体を体験するためだけではなく、自分たちの狩猟を最後まで続けるために、解体を実感する。
それが、ハンターバンクの「解体体験」で大切にしていることです。
ハンターバンクでは、初心者が現場を理解しつつわかりやすい説明会や会員向けの情報発信を行っています。
狩猟や獣害対策に関心がある方、現場を見ながら見ていられるような方は、ぜひご参加ください。
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