さまざまなスタイルで「ハンターバンク」を利用しているハンターさんたち。
狩猟を始めたきっかけも、活動のペースも多種多様なのですが共通するのは〈自分らしく〉楽しんでいること。そのあたり、聞いてみました。

ハンター体験記 Vol.3 池渕隆志さん

夢の田舎暮らしが〈田舎過ぎ〉ても、
ハンターバンクで準備万端でした。[その2]

縁あって手に入れた田舎の家は、ネズミやタヌキだけでなく、庭先に作った家庭菜園がイノシシやウサギに狙われて、さらに裏山の森にはどんな獣が潜んでいるかわからない……というレベルの野生の王国でした。そんな我が家での、田舎の家の暮らしを守るために、ハンターバンクで積み重ねた経験値は大きな資産になった、と池渕さんは話してくれました。いずれは憧れの田舎暮らしを……と考えている皆さんにも、参考になるお話なのではないでしょうか。

──小田原の猟場へは月に1回のペースで足を運んだ、という池渕さんですが、ハンターバンクのフィールドでは、どんなことを考えながら活動していたんですか?

池渕さん:その時々で単独だったり、他のメンバーとチームを組んだり、と状況はさまざまだったんですが、最終的な「田舎の家の暮らしを守る」という目的のためには、本当にいろいろな学びがありましたね。そもそも、自分の中ではなんとなく「最初はくくりわなかな」と考えていました。というのも、自分ひとりで狩猟をするのに、箱わなを導入するのはハードルが高すぎる、と思っていたんですよね。

──くくりわななら小さくまとめてザックで背負うこともできますが、箱わなとなると、まあオリですからね。歩いて運べるわけでもないですし、そもそも買うとなったら、ちょっとお試しで、というわけにもいかない値段になりますよね。

池渕さん:そう思っていたんですよ。でもそれが、ハンターバンクで箱わな猟を体験することができて、その運用を通じて、自分の庭先や裏山に設置する、という具体的なイメージもできました。

──箱わな猟を試せる機会、って貴重ですよね。

池渕さん:ハンターバンクだと、現地のホストさんやサポートハンターさんにアドバイスをもらいながら、初心者でも〈自分の箱わな〉を仕掛けることができるわけで、そこは本当にいい経験でしたね。


──なにしろ大きい道具も、重たい道具も、買うのがちょっと大変な道具も、ハンターバンクなら全部そろってますからね。

池渕さん:そのおかげもあって猟果も挙がり、山の恵みとしての肉を手にすることもできたわけですが、そこで経験できた止め刺しとか解体とかの個々のプロセスとは別に、カメラで捉えた箱わなの画像を遠隔で確認するシステムとか、効果的な誘引エサの使いかたとか、箱わな猟の全体を見渡したフローを体系的に学ぶことができて、これはとても参考になりました。それに、経験値として解体の手際が良くなったとしても、作業環境が整っていなければスムーズな解体にはなりません。ハンターバンクには水場を含めて、そのための場所と設備と道具が用意されているわけですが、いざ自分の田舎の家で解体するとなったときに、どう整えればいいのか……。設備や道具はどこまで必要なのか、あるいは自分の予算に応じてどこまで削れるものなのか、具体的に検討できるようになりましたね。

──なるほど……。そのイメージの具体性は、やはり自分の手で使って、試してみないとわからないものですよね。

池渕さん:そうでしたね。それで、例えば我が家の裏山に箱わなを設置したいなら、それを運ぶための軽トラックが必要なんだな、とか、自分が導入しなければならないものが、少しずつ見えてきた感じでしたね。

──地元のベテラン猟師さんと長い付き合いで、というならともかく、移住者となるといろいろ自分で手配しなければならないわけですが、少なくとも箱わな猟に関しては全部、ハンターバンクで試すことができた、ということですね。

池渕さん:その経験値があったからなのか、田舎の我が家の近くでも現役の猟師さんで話の合う人が見つかりまして、いろいろと手伝ってもらえそうな感じになっています。これ、全くのペーパーハンターでは難しかったかもしれませんね。

──となると、いよいよ東京の家を引き払って、本格的なハンターライフをスタートする、ということですね? さてさて、その意気込みはいかに……。

池渕さん:自分としては我が家の庭先に解体小屋でも作りたいところだったんですが、実は家族の反対を受けていまして……。ハンターバンクでは解体場所に皮や内臓を捨てる場所が用意されていたわけですが、自宅ではそういうわけにもいきませんからね。でも妻は、欲しいのは肉だけなんですよ。

──ま、それはそうでしょうね……。

池渕さん:なので、高台の下に空き家が一軒あるので、そこを借りて整備して解体小屋にしようかな、と考えています。ハンターバンクと同じように、家に持って帰るのは肉だけで、というスタイルにできれば、家族も文句なし、ということですね。

──夫婦円満の秘訣ですね。ありがとうございました。

 

池渕隆志さん(いけぶち・たかし)
縁あって手に入れた北関東の田舎の家が、暮らしてみたら野生鳥獣の天国だった!という新米ハンターさん。家庭菜園を作ったからには、野菜も果物も獣たちにやられっぱなしではいられないということで、狩猟免許を取得。田舎の家の暮らしを守るための知識と技術と経験を身につけるべく、ハンターバンクでいい修行ができたそうです。

 

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